弁護士 伊藤広樹
近時、上場会社の非公開化が相次いで公表されている。本年は過去最高件数を更新するのではないかという見方もあり、年末にかけてこのトレンドは継続していくものと見込まれる。非公開化が増加している背景には、近年の日本企業を取り巻く事業環境の急激な変化・経営課題の複雑化に加えて、東京証券取引所の上場維持基準の厳格化(経過措置の終了)や、いわゆるアクティビストからの圧力の高まりも挙げられよう。元々、日本ではその経済規模からすると他国と比較して上場会社の数が多いのではないかとの指摘もあり、上場する意義に乏しい会社や資本市場からのプレッシャーに耐えられない会社が非公開化の途を選択することは、わが国の資本市場にとっても健全な事象であるともいえる。