2025年9月号(498号)

非公開化を目的としない公開買付け(上場維持TOB)に関する事例分析(上)

森・濱田松本法律事務所外国法共同事業
弁護士 笠間周子  弁護士 坂㞍健輔  弁護士 川本 健 
弁護士 渡邊泰尚  弁護士 橘川文哉  弁護士 伊藤竜之介
弁護士 前川 涼  弁護士 猪俣大輝  弁護士 利根川絢菜

Ⅰ 総論

 1 はじめに

 東京証券取引所が2025年2月4日に「親子上場等に関する投資者の目線」を公表するなど、近年、親子上場のあり方の見直しが進み、上場子会社の完全子会社化が増加している。もっとも、対象者の企業価値の向上には対象者の独立性を維持するほうが望ましい等の考えから、対象者の連結子会社化や持分法適用関連会社化等を目的とし、対象者の上場維持を前提とした公開買付け(以下「上場維持TOB」という)が行われることがある。また、上場会社の大株主が保有する株式の譲渡に際して、上場維持TOBが行われることもある。

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