2025年11月号(500号)

〈視点〉ガバナンスの観点も踏まえた「パーシャル・スピンオフ」の留意点

弁護士 関口智弘

 2025年9月29日、ソニーグループ(以下「ソニーG」という)は金融子会社であったソニーフィナンシャルグループ(以下「ソニーFG」という)を東京証券取引所プライム市場に再上場させた。ソニーGは2020年に上場子会社であったソニーFGを完全子会社化したが、その後にエンターテインメント事業がコア事業となり、日本初の「パーシャル・スピンオフ」のスキームによってソニーFGをグループから分離した。ソニーGのように事業の多角化が進んだ上場企業では、企業全体の価値が個々の事業の価値を合計した理論的な企業価値よりも低く評価される現象(コングロマリット・ディスカウント)が生じることがあり、パーシャル・スピンオフはその解消手段として注目されている。

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