2025年11月号(500号)

自己株式の取得の事例分析―2024年6月~2025年5月

西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
弁護士 太田 洋  弁護士 野澤大和  弁護士 谷山風未花

Ⅰ はじめに

 1 近時の自己株式取得の動向

 本稿は、2025年3月31日時点において東京証券取引所(以下「東証」という)プライム市場に株式を上場する会社(以下「対象上場会社」という)1,637社を対象として、対象上場会社が2024年6月1日から2025年5月31日までの期間(以下「本対象期間」という)に公表した自己株式の取得の事例のうち、事前公表型自己株式立会外取引(ToSTNeT-3)または自己株式公開買付け(以下、公開買付けを「TOB」といい、自己株式公開買付けを「自社株TOB」という)を用いた事例について、その傾向等を分析・紹介するものである[1]。なお、本稿で調査の対象とした事例は、2019年6月1日以降各年を対象として行った各年度の分析(以下「過年度分析」と総称する)[2]において調査の対象とされた事例に比べ、その範囲が限定されているものの、本稿は過年度分析と連続する分析であるため、過年度分析も参照されたい。なお、本稿で登場する会社は基本的に株式会社であるため、引用部分を除き原則として「株式会社」の表記は省略した。

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