2025年6月号(495号)

[別表] 買収行動指針関連記載例

(1) ホリイフードの事案

  開示資料 主な買収行動指針への言及箇所 買収行動指針
主な関連箇所
シティクリエイション「ホリイフードサービス株式会社(証券コード:3077)の株券等に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(2024年6月10日)4頁  本意向表明書提出後、2024年5月30日、公開買付者は、破産管財人から、「破産管財人及び本質権者で協議の結果、公開買付者の提案は、経済産業省が2023年8月31日に公表した『企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-』(以下「企業買収行動指針」といいます。)における『真摯な買収提案』(同指針3.1.2)として検討に値するものと考える。破産管財人より対象者にその旨速やかに伝達する予定である。」旨の連絡(以下「本件連絡」といいます。)を受けました。 15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
同8~9頁  本日時点において、対象者の取締役会から、本公開買付けに対する意見表明を受けておりませんが、公開買付者としては、(a)本公開買付けは、……公開買付者と対象者の強固な連携を通じて対象者のシナジーを発現することで対象者の企業価値を最大化させるものであること、(b)1株当たり株式価値392円は、麻布台1号有限責任事業組合公開買付価格(1株当たり330円)よりも高く設定されていること、(c)本公開買付けに係る決済には、自己資金を用いる予定であり、決済資金の準備も完了していること、(d)本日現在、前提条件①を除く本公開買付前提条件について充足の重大な支障となる事実を認識していないこと、(e)前提条件①のとおり、対象者取締役会にも本公開買付けに賛同又は中立である旨の意見表明を行うことを決議するにあたり、公開買付者による本公開買付けに係る提案が、対象者の企業価値の向上及び対象者株主の共同の利益の確保の観点に照らして、賛同すべきか否かを判断するための期間として少なくとも1か月の期間が必要となると考えられることから、2024年7月中旬を目途に本公開買付前提条件を充足した上で本公開買付けを開始することができるものと考えていることも踏まえると、公開買付者による本公開買付けに係る提案は、その具体性・目的の正当性・実現可能性に照らして、企業買収行動指針における「真摯な買収提案」(同指針3.1.2)に該当するものであるのみならず、対象者及び対象者株主の皆様にとって麻布台1号有限責任事業組合公開買付けより魅力的な提案であって、対象者の企業価値の向上及び対象者株主の共同の利益の確保の観点に照らして、対象者取締役会において真摯にご検討いただいた上で、対象者取締役会から賛同いただける内容であると確信しております。公開買付者は、対象者との間で本公開買付けに係る提案に関する協議を2024年6月11日に開始する予定です。公開買付者は、対象者取締役会に公開買付者の提案の内容につき正しくご理解いただき、これに賛同いただけるよう、対象者との間の協議・交渉を継続する予定です。 15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
ホリイフード「株式会社シティクリエイションホールディングスによるホリイフードサービス株式会社(証券コード:3077)の株券等に対する公開買付けの開始予定及び特別委員会の設置に関するお知らせ」(2024年6月10日)1頁  当社は、シティクリエイションHDによる本意向表明を受け、本日付の取締役会決議において、本意向表明につき、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針」を踏まえ、検討プロセスの公正性と透明性を確保しつつ、真摯な検討を行うことを目的として、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置することを決定いたしました。 21~22頁
「3.3 公正性の担保-特別委員会による機能の補完・留意点」

 

(2) 富士ソフトの事案

  開示資料 主な買収行動指針への言及箇所 買収行動指針
主な関連箇所
富士ソフト「FK株式会社による当社株券等に対する公開買付けの開始予定に関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(2024年8月8日)11~12頁  その後、当社は、KKRを含む3DIPプロセス優先交渉権を付与された候補先3社から3DIP宛に提出されていた法的拘束力を有さない提案書について、2023年9月4日に3DIPから共有を受けたことから、KKRが提出した3DIPプロセス提案書を含むこれらの提案書についても、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針」(以下「企業買収における行動指針」といいます。)を踏まえ、検討プロセスの公正さと透明性を確保しつつ、真摯な検討を行う必要があると判断し、2023年9月12日付の取締役会決議において、上記独立取締役WGよりもさらに権限等を拡充した委員会として、独立社外取締役6名のみから構成される本特別委員会……の設置を決定し、(a)当社の策定した企業価値向上策と、当社株式を非公開化する提案(以下「非公開化提案」といいます。)に係る候補先3社の提示する企業価値向上策について、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるかという観点から比較検討を行い、いずれが望ましいかについて取締役会に提言又は勧告を行うこと、及び(b)(a)において非公開化提案の候補先3社の提示する企業価値向上策が当社の策定した企業価値向上策よりも望ましいという判断になった場合には、非公開化提案について、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるかの観点から検討し、当社の取締役会において非公開化提案を承認するべきか否かについて、取締役会に提言又は勧告を行うことを委嘱するとともに、当社の取締役会は、上記委嘱事項に関する本特別委員会の判断内容を最大限尊重して当該事項に関する意思決定を行うことといたしました。また、本特別委員会は独自のアドバイザーとして、2023年9月中旬に、ファイナンシャル・アドバイザーである……、リーガル・アドバイザーである……をそれぞれ選任し、同年9月15日に、当社取締役会に対し、3DIPから受領した複数の候補先からの上記提案書について、企業買収における行動指針にいう真摯な提案に該当するとしたうえで、真摯な検討を行うよう勧告を行いました。なお、当社は、当社情報提供プロセスにおいて4社から情報提供を受けておりましたが、当該情報提供はあくまでも企業価値向上策に係る情報提供にとどまり、当社に対する買収提案ではなかったため、本特別委員会における検討対象とはされておりませんでした。 21~22頁
「3.3 公正性の担保-特別委員会による機能の補完・留意点」
15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
同27~28頁  本特別委員会は、2023年9月12日の組成以降、本特別委員会が登用したファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーの専門的助言を受けた上で、企業買収における行動指針に依拠して検討を進めてきました。その主な活動内容は以下のとおりです。
 2023年9月15日、本特別委員会は、当社取締役会に対し、3DIPから受領した複数の候補先からの提案書について、企業買収における行動指針にいう真摯な提案に該当するとした上で、真摯な検討を行うよう勧告を行いました。また、当社において3DIPから受領した複数の候補先からの提案の比較対象となる企業価値向上策を示す必要があるとの認識の下、当社に対し、既に検討中の中期経営計画に同時点で検討に着手していた上場子会社4社の完全子会社化取引も織り込んだ新中期経営計画を策定した上で、本特別委員会に提出するよう要請いたしました。
 当社より新中期経営計画の原案を受領した後、本特別委員会は、本特別委員会が登用したグローバル・コンサルティング・ファームの支援を受けつつ、約1ヶ月半に渡って新中計経営計画の原案の検証を行いました。並行して、本特別委員会が登用したファイナンシャル・アドバイザーに当該検証を経た数値に基づく当社株式の価値について財務的な見地から助言を受け、その内容を検証いたしました。
 また、本特別委員会は、PEファンドとの間で面談を実施し、PEファンドの提案内容に関する質疑応答を行いました(なお、PEファンドとの面談は、PEファンドより追加提案がなされる都度、必要に応じて、実施されました。)。本特別委員会は、当該質疑応答の内容を踏まえ、本特別委員会が登用した各アドバイザーの専門的助言を受けつつ、企業買収における行動指針が定める評価要素(買収後の経営方針、買収価格等の取引条件の妥当性、資力・トラックレコード・経営能力、買収の実現可能性)に沿って各提案を評価し、その比較検討等を行いました。
 そして、これらの過程の中で、本特別委員会は、適時の段階で当社取締役会に対して意見書を提出し、PEファンドから真摯な提案が追加提出された場合は、真摯な対応を行う旨の勧告や、非公開化は、上場を維持した場合に当社が抱える課題や懸念を払拭・低減することができるという利点を有しており、十分に検討する旨の要請等を行ってまいりました。
 本特別委員会は、2024年6月上旬から下旬にかけて、KKRを含むPEファンド2社から法的拘束力を有する意向表明書を、PEファンド1社から法的拘束力を有しない意向表明書を受領いたしました。 本特別委員会は、各提案を比較検討するため、委員会が登用した各アドバイザーの専門的助言を受けつつ、①行動指針が定める評価要素(買収後の経営方針、買収価格等の取引条件の妥当性、資力・トラックレコード・経営能力、買収の実現可能性)に沿った各提案の評価及び比較検討、②委員会が登用したファイナンシャル・アドバイザーによる当社株式の価値についての財務的な見地からの助言の再取得、③各ファンドとの面談による提案内容に関する質疑応答及び④各ファンドとの価格引上交渉等を行い、これらを通じて入手した情報等を踏まえて、適時に開催した委員会において慎重に議論を重ねました。
 そして、本特別委員会は、2024年6月28日、①KKRが提出した法的拘束力のある最終提案書(以下「KKR最終提案」といいます。)は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保又は向上に資する提案であること、②KKR最終提案は、当社が非公開化を実施する場合の同日時点における最善の提案であること、③当社取締役会は、新中計の実現によって将来得られる想定株価がKKR最終提案価格を確実に上回る蓋然性、並びに当社の抱える課題及びリスクを払拭・低減するKKR最終提案以外の代替策等を検討し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保又は向上の観点から、KKR最終提案への対応や同提案に応じるかについて説明責任を果たすべきであること、④当該説明責任を果たすことが不能なのであれば、可能な限り対抗提案との競争環境を維持しつつも、KKRによる公開買付けへの応募等を通じて当社株主の判断を得るための具体的なプロセスに着手すべきであること等を内容とする6月28日付意見書を、当社取締役会に提出いたしました。
 なお、当社は、2024年7月26日、第三者から、法的拘束力を有しない2024年7月26日付第三者提案書を受領いたしました。
 本特別委員会は、2024年7月26日付第三者提案書について、委員会が登用した各アドバイザーの専門的助言を受けつつ、①当社からその内容の説明を受けた上で、②本特別委員会が登用した各アドバイザーの専門的助言を受けつつ対応方針を協議し、③KKR及び当該第三者と面談を実施し、また、④当社を通じて、3DIPに対して2024年7月26日付第三者提案書に対する意向を確認し、⑤これらの面談及び確認結果を踏まえて、2024年7月26日付第三者提案書に対する対応方針を慎重に協議を行いました。
 その結果、本特別委員会は、2024年7月26日付第三者提案は法的拘束力を有しない提案であること、当該第三者が3DIPの応募同意を得る確度が不透明であること、3DIPが2024年7月26日付第三者提案ではなくKKR最終提案が優位であると判断していることなどから、2024年7月26日付第三者提案の実現可能性には疑義があると判断し、2024年8月4日付で、2024年6月28日付で提出した本特別委員会の意見を変更するに足る事情はない旨の8月4日付意見書を当社取締役会に提出いたしました。この間、本特別委員会は、委員会が登用した各アドバイザーの専門的助言を受けつつ、企業価値向上の観点を踏まえた本取引の意義等についての当社との議論等を行い、これらを通じて入手した情報等を踏まえて、適時に開催した委員会において、本諮問事項について慎重に議論を重ねました。
21~22頁
「3.3 公正性の担保-特別委員会による機能の補完・留意点」
15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
KKR「(変更)FK株式会社による公開買付届出書の訂正届出書の提出に伴う「富士ソフト株式会社(証券コード:9749)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」の変更に関するお知らせ」(2024年9月19日)10~11頁  2024年9月3日にベインキャピタルよりベインキャピタルプレスリリースが公表されておりますが、2024年9月4日付対象者プレスリリースによれば、対象者は、2024年9月4日、対抗提案が実現する可能性を恣意的に排除しないという観点から、本公開買付期間中も、ベインキャピタルに対するデュー・ディリジェンスの機会の付与を継続することを決定するとともに、ベインキャピタルから法的拘束力のある提案がなされた場合は、対象者及び本特別委員会で慎重かつ真摯に検討を行う予定であるとのことです。しかしながら、ベインキャピタルプレスリリースは、(ⅰ)対象者から合理的に必要となる協力を適時に受けられること、(ⅱ)ベインキャピタルにおいて必要な機関決定がなされること、(ⅲ)適切なプロセスの下で、対象者の経営陣と誠実に協議を行い、対象者株式の非公開化後の経営方針について対象者の経営陣とベインキャピタルの意見が一致すること、(ⅳ)今後実施予定のデュー・ディリジェンスにおいて対象者グループの事業、財務状況、経営状況、資産、負債、キャッシュ・フロー及び今後の見通しに関して本情報提供プロセスで検証した内容から変更がないことが確認できること、(ⅴ)国内主要金融機関からCertain Fundsベースの融資に係るコミットメントレター取得の準備が整うこと等を前提条件として、対象者の非公開化取引に関する法的拘束力ある提案を行う可能性があることを表明するものであり、(a)ベインキャピタルが法的拘束力のある提案を行うのか、行うとしていつ法的拘束力のある提案を行うのか、(b)法的拘束力のある提案が行われた場合にどのような時間軸で対象者が検討するのか、(c)当該検討の結果、対象者が本公開買付けに関する意見(本公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の対象者取締役会の決議)を変更するのか、(d)ベインキャピタルプレスリリースに記載されたスケジュール(2024年10月にベインキャピタルによる法的拘束力のある提案が提出され、かつ、ベインキャピタルによる公開買付けの開始予定に関するお知らせの公表が行われ、2024年11月以降にベインキャピタルによる公開買付けが行われる予定)にどの程度信憑性があるものかが明確でないと認識しております。この点、2023年8月31日に経済産業省により制定された「企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」において、株主が買収に対する判断を行う際に、必要な情報の提供を受けた上で、合理的な意思決定が阻害されない状況を確保する観点から、買収者が「買収のために要する資力など、公開買付けを実際に行う合理的な根拠なく、公開買付けの実施を予告すること」は望ましくないとされておりますが、ベインキャピタルプレスリリースの公表以降、対象者株式の市場価格は高騰しており、公開買付者としては、対象者の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様が合理的な意思決定を行うことが阻害される懸念が生じていると考えております。 29頁
「4.3 株主の意思決定を歪める行為の防止」
富士ソフト「(変更)『FK株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ』の一部変更について」(2024年9月26日)20頁 ② 株主意思確認の機会及びマーケット・チェックについて
ア 問題の所在
 ……現時点において、ベインキャピタルによる非公開化が実現する可能性は低い状況の中、本ストラクチャー変更により、公開買付者は当社の32.68%にかかる株式数を現に取得することになる。
 そこで当委員会は、①早期売却を求める大株主の利益が優先されており、少数株主がKKR及びベインキャピタルそれぞれの提案を比較検討し、応募を通じて自らの意思を表明する機会が奪われていないか(行動指針に定める「株主意思の原則」の軽視ではないか)、②間接的なマーケット・チェックの結果、ベインキャピタルによる新たな対抗提案が行われる可能性が高まっているにもかかわらず、ベインキャピタルによる非公開化の可能性を閉ざすこととなり、自らマーケット・チェックの結果を放棄したこととならないか(行動指針に定める「株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」を行っていないのではないか)との観点からも検討を行うことが望ましいと判断した。
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
Bain「富士ソフト株式会社株式(証券コード:9749)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(2024年10月11日)4~5頁  ……公開買付者としては、(a)本提案においては、買収対価や取引の主要条件を具体的に明示していること、(b)……本公開買付け後の経営方針を示していること、(c)……本取引は、ベインキャピタルによる成長戦略・事業構造変革の設計・遂行や人的支援等を通じ、対象者を全面的に支援することで対象者の企業価値を最大化させることを目的としており、買収価格の吊り上げや競合他社からの情報収集等を行う目的で行われたものではないこと、(d)本公開買付けの買付代金は、503,388,094,050円……であるところ、本公開買付けに係る決済には、国内金融機関からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)及び公開買付者親会社からの出資(以下「本出資」といいます。)を用いる予定であり、国内金融機関から2,900億円を上限として融資を行う用意がある旨のコミットメントレターを2024年10月10日付で取得しており、また、ベインキャピタルから3,035億円のエクイティ・ファイナンスについての意向を証する書面(Equity Commitment Letter)を本日付で取得しているため、決済資金の準備も完了していること、(e)本日現在、本公開買付前提条件の充足の重大な支障となる事実を認識しておらず、2024年10月下旬を目途に本公開買付前提条件を充足した上で本公開買付けを開始することができるものと考えていることも踏まえると、公開買付者による本取引に係る提案は、その具体性・目的の正当性・実現可能性に照らして、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(以下「企業買収行動指針」といいます。)における「真摯な買収提案」(同指針3.1.2)に該当し、対象者における真摯な検討が求められるものと考えております。そして、……第1回FK公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様に対して、第1回FK公開買付けに応募することを推奨する旨の決定をしたとのことですが、当該決定はベインキャピタルが対象者株式の非公開化取引について法的拘束力のある提案を行う前の時点における決定であるところ、(f)本取引は、ベインキャピタルによる成長戦略・事業構造変革の設計・遂行や人的支援等を通じ、対象者を全面的に支援することで対象者の企業価値を最大化させるものであること、(g)本公開買付価格9,450円は、FK公開買付価格(1株当たり8,800円)よりも高く設定されていることを踏まえると、対象者、対象者の株主及び本新株予約権者の皆様にとってFK公開買付けより魅力的な提案であり、企業買収行動指針3.1.2において、真摯な検討を進めるにあたっては買収価格等の取引条件が軽視されるようなことがあってはならないとされていること、同指針3.2.1において、対抗提案がされることにより、取引条件が異なる複数の提案が提示され、公知となった場合には、株主の利益に配慮しているか(価格等の取引条件について最善の選択をしているか)という問題が顕在化しやすく、市場における説明責任を果たす必要が高まるとされていること、及び同指針3.2.2において、現金対価による全部買収の提案においては、株主にとっては価格面での取引条件の適正さが特に重要となるとされていることを踏まえると、本提案は、対象者の企業価値の向上及び対象者の株主の共同の利益の確保の観点に照らして、対象者取締役会において真摯にご検討いただいた上で、対象者取締役会より賛同いただける内容であると確信しております。対象者8月8日付意見表明プレスリリースによれば、対象者の特別委員会は、2024年7月26日提案は実現可能性に疑義があると判断したとのことですが、仮に、法的拘束力のある本提案についても実現可能性に疑義があるとして対象者の取締役会が賛同しないようなことがあれば、本公開買付けを通じて対象者株式及び本新株予約権を売却することを希望する対象者の株主(以下「売却希望株主」といいます。)及び本新株予約権者(以下「売却希望新株予約権者」といいます。)の皆様に対して既に開始されているFK公開買付けにおけるFK公開買付価格よりも高い価格での対象者株式及び本新株予約権の売却機会を奪うこととなり、株主共同の利益を害するものと考えております。 15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
18頁
「3.2.1 想定される場面」
18~19頁
「3.2.2 買収比率や買収対価による差異」
同5頁  (注3)加えて、公開買付者は、公開買付者が同年10月11日までに本提案を提出することを前提に、対象者に対して、早期に第1回FK公開買付けに対する賛同意見表明及び応募推奨を変更する旨のプレスリリースを行うことも要請しております。金融庁が策定した「公開買付けの開示に関する留意事項(公開買付けガイドライン)」(2024年10月1日より適用)によれば、公開買付届出書又はその訂正届出書に記載された内容と異なる意見の内容が対象者から表明された場合には、これらの内容の差異が軽微であるときを除き、訂正届出書の提出が必要であり、また、公開買付届出書又はその訂正届出書に既に記載された意見の根拠又は理由と異なる意見の根拠又は理由が対象者から開示された場合にも、投資情報として重要な事項に変更があるときには、訂正届出書の提出が必要とされております。公開買付者としては、対象者が第1回FK公開買付けへの意見の内容、根拠及び理由等を変更する場合には、本提案の投資情報としての重要性に鑑み、第1回FK公開買付けに係る訂正公開買付届出書が提出されるべきものと考えておりますが、かかる訂正届出書が提出された場合には、FK公開買付期間は、かかる訂正届出書を提出する日より起算して10営業日を経過した日まで延長されることになると考えております(法第27条の8第8項、府令第22条第1項及び第2項)。また、公開買付者としては、企業買収行動指針4.1.2において、対象会社の株主にとって、買収に関する検討や準備の時間が不足すると客観的に考えられる場合には、買収者は、対象会社やその株主のニーズも踏まえ合理的な範囲で期間を延長することが望ましいとされているとおり、本公開買付けの開始予定が公表されたことを受け、対象者の株主及び本新株予約権者の皆様が本公開買付けとFK公開買付けを比較検討する時間の確保のため、FKによってFK公開買付期間が延長されることが望ましいと考えております。 27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」
同10頁  ……FKがあえて本FKスキーム変更まで行ったのは、対象者の株主及び本新株予約権者の皆様にとってより有利な価格での売却機会を提供する本公開買付けが実施される蓋然性が高まっている中で、本スクイーズ・アウト手続(以下に定義します。)の実施を阻止するために必要な議決権数を本公開買付けが成立するよりも前に確保し、非公開化を前提とした本取引を行うことが困難な状況を作出することで、本取引の成立可能性(又はベインキャピタルが本公開買付けを実施する動機)を失わせることを意図したものであると考えております。したがって、公開買付者としては、本FKスキーム変更は、対象者株式の非公開化を前提とした対抗提案の機会を阻害して取引保護的な効果を生じさせるものであって、対象者の株主及び本新株予約権者の皆様にとってより有利な価格での売却機会を阻害するという意味において、対象者の株主共同の利益を損なうことは明らかであると考えております。
 また、企業買収行動指針3.2.3においては、対象会社の取締役会は、株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉を実施すべきとされ、買収に関する事実の公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上で買収を実施すること(間接的なマーケットチェック)に合理性があるとされるところ、本FKスキーム変更は、対象者株式の非公開化を前提とした対抗提案を行うことが困難な状況を作出することで対象者の間接的なマーケットチェックの機会を阻害するものであり、かかる観点からも株主共同の利益の確保を不十分にするものと考えております。
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
富士ソフト特別委員会「追加意見書」(2024年11月15日)7~8頁 (1) Bain提案の懸念及び当該懸念に関する当委員会の考え
① Bain提案の懸念点
 Bain提案は、KKRが既に当社株式の約34%を保有していることから、KKRが売却に応じない限り単独での非公開化は難しく、Bain公開買付け成立後はBainとKKRが当社の大株主として併存する状況も許容するものとなっている。
 このため、仮にBainとKKRの間で意思決定に関する見解の相違が発生した場合、いわゆるデッドロックによって、(ⅰ)特別決議事項などの重要な決定が行えず、インオーガニックな成長が達成し得ないリスク、(ⅱ)迅速な意思決定が達成できないリスクがある。  
② 当委員会の評価
 上述したリスクは、行動指針が採用する企業価値基準(買収の望ましさは、本来、企業価値を基準に判断すべきであるという見解)のもとで、企業価値向上の判断において当社に相応の裁量が認められることを踏まえると、少なくとも定性的には、企業価値の向上を妨げ得るリスクであることは明らかである。 この点、当委員会は、Bainに対して当該リスクに対する対応方針を繰り返し確認した。Bainによれば、Bainは創業家株主が保有する当社株式11,691,882株(約18.57%(議決権所有割合))を確保しており、Bain公開買付けの結果、議決権比率で過半数の株式を確保可能と考えているとのことであった。また、これにより、特別決議事項を除き、迅速な意思決定が可能になるとのことであった。
 しかし、これらの説明によっても、企業価値向上という観点から、Bain提案には以下の問題点が指摘できる。
 ・ KKRが既に当社株式の約34%を保有していることから、特別決議事項などの重要な決定が行い得ないという結論に変化はなく、そのようなデッドロックが発生した場合に、KKRとどのように意見集約を図るかについて、具体的な方策は明らかにされていないこと。
 ・ 議決権比率で過半数に相当する株式を確保して、経営の主導権を握ることを目途としているのであれば、Bain公開買付けの買付予定数の下限を議決権比率で過半数に相当する株式数と設定して、企業価値を棄損する懸念を可能な限り払拭することも考えられるが、そのような具体的な対応策もとられていないこと(その結果、Bain提案価格がKKR提案価格を上回っていない現状において、実際にBain公開買付けによりBainが上記株式数を確保できるかは不明確であること。)。
 さらに、仮にデッドロックにより当社の事業運営が極めて困難な状況となれば、最悪は顧客離反・新規案件獲得の停滞や従業員モチベーションの低下・離職などの弊害が生じる可能性も皆無ではない。
7頁
「2.1 3つの原則」
Bain「富士ソフト株式会社株式(証券コード:9749)に対する公開買付けの買付条件等の変更に関するお知らせ」(2024年12月11日)22~23頁  また、部分買付けによって生じる強圧性については、そもそも、本公開買付けは、上限を付さない全部買付けを前提としたものであり、部分買付けではありません。確かに、このような上限を付さない全部買付けの場合であっても、下限の設定がない、もしくは、下限が非常に低く設定されている場合には、公開買付けが成立しても、二段階目のキャッシュ・アウトが保障されず、少数株主を残存させる可能性が生じることにより、部分買付けと同様の強圧性の問題が生じうるという指摘もありますが、企業買収行動指針の「別紙2:強圧性に関する検討」の1.b)及び「別紙3:買収への対応方針・対抗措置(各論)」3.(1)b)に記載のとおり、上限を設定しない全部買付けの場合には、搾取的な買収等のおそれは相対的に小さくなりうること、少数株主として残存する可能性があることのみで強圧性の問題の程度を評価することはできず、実際にどの程度の強圧性が生じうるかを考えるためには、個別の事案に即した検討が必要となることが指摘されております。この点、公開買付者が本買付条件等変更前において下限を設定しないこととしたのは、2024年10月11日付プレスリリースの公表時点において、本公開買付価格がFK公開買付価格よりも650円高いにもかかわらず、本FK下限撤廃により、FK応募契約に基づく3DIP及びFarallonによる応募により第1回FK公開買付けが成立し、FKによるFK応募予定株券等(合計:20,667,670株、所有割合:32.79%)の買付けがなされる可能性があり、その場合、本公開買付けに3分の2下限を定めるとFKが本公開買付けに応募しない限り本公開買付けが不成立となる可能性があり、売却希望株主及び売却希望新株予約権者の皆様の売却機会が制限されることから、売却希望株主及び売却希望新株予約権者の皆様の売却機会を確保する観点からやむを得ず下限の設定を行わないこととしたものでした。仮に下限を付さないことにより不利益を受ける株主が存在するとすれば、本公開買付価格に不満を有しており、本公開買付けに応募することを希望していない株主(すなわち、本公開買付けが実行されることなく対象者株式を所有し続けていれば、対象者株式は本公開買付価格以上の価値を有することになると期待している株主)となりますが、たとえ本公開買付けが実施されなくても、第2回FK公開買付けが成立し、FKによるスクイーズ・アウトが実施された場合には、対象者株式を所有し続けることはできず、上記のような期待は保護されないことになります(むしろ本公開買付けに応募した場合よりも低い価格での売却を強制されることになり、本公開買付けに応募せざるを得なかった場合よりも不利益を被ることになります。)。本公開買付けに3分の2下限を定めるか、あるいは、下限を付さないかという判断は、本公開買付価格での売却を希望する売却希望株主及び売却希望新株予約権者の利益を重視するか、あるいは、本公開買付け又はFK公開買付けのいずれも不成立となることを望んでいる株主の利益を重視するかの問題であると捉えることもでき、本公開買付け又はFK公開買付けのいずれも実現されないことを望んでいる株主が少数に留まることが合理的に予想される状況下においては、むしろ売却希望株主及び売却希望新株予約権者の利益を重視することが株主の共同利益に資することになると考えられることから、買付予定数の下限を設定せず本公開買付けを実施したとしても実際に強圧性が生じる懸念は生じにくいと考えておりました。また、本買付条件等変更による下限の設定前においても、公開買付者は、本スクイーズ・アウト手続により本公開買付価格又は本新株予約権買付価格と同額を交付することを明示していることに加えて、本公開買付け後、FKの協力を得ることができず、本スクイーズ・アウト手続が実施できない場合であっても、対象者株式が上場廃止となることが見込まれる場合や万が一公開買付者とFKとの間で対象者の運営に関して重大な見解の相違が発生したことにより、残存する対象者の株主及び本新株予約権者の皆様に重大な不利益が生じる蓋然性が高いと判断したときは、残存する対象者の株主及び本新株予約権者の皆様にかかる不利益を生じさせないよう、再度本公開買付けと実質的に同一の条件で公開買付けを実施するなどの方法により、残存する対象者の株主及び本新株予約権者の皆様に対して合理的な退出機会を与えることを予定していることを明示しております。その場合、本公開買付けに反対する株主や本新株予約権者の皆様は、本公開買付けに対して応募しなかったにもかかわらず本公開買付けが成立したとしても、その後に本公開買付価格又は本新株予約権買付価格と同額を受領する機会が確保されているといえ、不本意ながら本公開買付けに応募する必要はなく、強圧性の問題は解消又は緩和されていると考えておりました。それにもかかわらず、対象者特別委員会は、企業買収行動指針にいう個別の事案に即した検討をすることなく、部分買付けによって生じる強圧性の問題についても十分な手当てがなされているとは言い難いと結論付けております。 40~41頁
「b) 少数株主として残存する可能性のある公開買付け」
49~50頁
「b) 強圧性のある買収手法への対応」
富士ソフト「株式会社BCJ-88による当社株券等に対する公開買付けに係る当社取締役会の意見(反対)に関するお知らせ」(2024年12月17日)2~3頁 ① 本公開買付けに関する検討の経緯
 当社は2024年10月11日付ベインキャピタルプレスリリースを受けて当社及び本特別委員会で慎重に検討を行い、2024年11月15日及び2024年11月19日の取締役会決議において、本公開買付けの開始予定について、反対意見を表明する旨を決議しております。
 その後、2024年12月11日、当社取締役会は、公開買付者より、本価格引上げを含む提案を受領いたしました。かかる提案を踏まえ、本特別委員会において慎重に検討が行われた結果、2024年12月17日付で(ⅰ)①2024年12月11日ベインキャピタル提案には、大株主が併存することによる株主総会特別決議事項に関するデッドロックのリスクがあるため、特別決議を要する組織再編等を用いたインオーガニックな成長を達成し得るかという点において、FKによる非公開化と比較して企業価値の向上になお疑義が残ること、②本公開買付けの完了は、第2回FK公開買付けの完了よりも少なくとも3ヶ月程度遅れることが想定され、かつ、本公開買付けが第2回FK公開買付けに先だって完了する可能性はないことから、2024年12月11日ベインキャピタル提案はFKによる非公開化に比して非公開化を通じた当社中計の達成に向けた企業価値向上策の実行着手時期が遅れるため、将来キャッシュフローの割引現在価値という定量的な観点においてもFKによる非公開化に劣ること、(ⅱ)①第2回FK公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等価格(以下「第2回FK公開買付価格」といいます。)は、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針」(以下「行動指針」といいます。)が要請する株主利益の確保を実現するための合理的な努力が貫徹された上で形成された価格であって、価格としての十分性が認められること、②本公開買付価格と第2回FK公開買付価格の差は149円(約1.58%)である一方で、第2回FK公開買付価格には早期に現金化が可能になるという意味において時間的価値も認められることもあわせて考えると、本公開買付価格による売却の機会を確保する必要性は低いことから、本公開買付けに反対意見を表明するよう勧告する旨の追加意見書(以下「12月17日付意見書」といいます。)を受領いたしました。当社は、本日開催の取締役会において、12月17日付意見書の内容を最大限尊重しつつ、本公開買付けについて真摯かつ慎重に検討を行った結果、引き続き本公開買付けの開始予定について反対意見を表明する旨を決議いたしました。行動指針の要請の内容や、第2回FK公開買付価格の価格としての十分性等、12月17日付意見書の詳細な内容につきましては、別紙をご参照ください。なお、第2回FK公開買付けについては、12月17日付意見書において、11月18日付答申書提出から12月17日付意見書提出日に至るまで、第2回FK公開買付けに関する本特別委員会の意見を覆すに足る事情は発生しておらず、第2回FK公開買付価格に価格としての十分性が認められ、株主利益の確保の点において懸念はなく、また、本公開買付価格と第2回FK公開買付価格(9,451円)の間には149円(比率にして約1.58%)の価格差がある一方で、第2回FK公開買付価格は本公開買付価格よりも約3ヶ月早期に現金化が可能になるという意味において時間的価値に勝るものであり、本公開買付けに賛同意見を表明して本公開買付価格による売却機会を確保しなければならない必要性に乏しいことから、11月18日付答申書と同様の意見を述べることが示されており、当社は、本日開催の取締役会において、十分な競争手続を経て提示された第2回FK公開買付価格に価格としての十分性が認められ、株主利益の確保の点において懸念はなく、また、第2回FK公開買付価格は本公開買付価格よりも約3ヶ月早期に現金化が可能になるという意味において時間的価値に勝るものであることから、12月17日付意見書において指摘されたその他の点も踏まえ、第2回FK公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様に対して、第2回FK公開買付けへの応募を推奨することを決議しております。
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
同17~18頁(富士ソフト特別委員会「追加意見書」(2024年12月17日)) 1. Bain追加提案の真摯な検討
 当委員会は、BainからKKR第2回公開買付け期間中(2024年12月19日まで)に当社の検討結果の開示を要請されたことを踏まえ、2024年12月11日に受領したBain追加提案について、真摯な検討を行った。
2. 当委員会が意見形成を行うに際して留意した考え方
 当委員会が本追加意見書を検討するにあたり、特に留意した行動指針の原則及び考え方は以下のとおりである。
(1) 行動指針の第1原則(企業価値・株主共同利益の原則) 行動指針の第1原則(企業価値・株主共同の利益の原則)は、「望ましい買収か否かは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、又は向上させるかを基準に判断されるべきである」とする。
 行動指針は、買収が実行される場合には、「対象会社の企業価値を向上させ、かつ、その企業価値の増加分が当事者間で公正に分配されるような取引条件で行われるべき」と指摘し(行動指針2.2.2)、「取締役会が買収に応じる方針を決定する場合」、「会社の企業価値を向上させるか否かの観点から買収の是非を判断するとともに、株主が享受すべき利益が確保される取引条件で買収が行われることを目指して合理的な努力を行うべきである」としている(行動指針3.2.1)。
 すなわち行動指針は、買収に応じるか否かの判断は、原則として企業価値の向上の観点から行うことを要請しつつ(以下、当該判断基準を「企業価値基準」という。)、株主が享受すべき利益が確保される取引条件の確保に向けた合理的な努力も要請している。
 但し、企業価値は「企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの割引現在価値の総和」(行動指針1.4)と定義されている。「定量的な概念」であることから(行動指針2.2.2)、「定量的な観点から十分に比較検討する」ことが望ましく(行動指針3.1.2)、「測定が困難である定性的な価値を強調することで、企業価値の概念を不明確にしたり、経営陣が保身を図る(経営陣が従業員の雇用維持等を口実として保身を図ることを含む。)ための道具とすべきではない」とされている(行動指針2.2.2)。
(2) 株主が享受すべき利益の確保について
 行動指針は、株主が享受すべき利益が確保される取引条件の確保に向けた合理的な努力も要請している。特に対抗提案が存在する場面について行動指針は、「取引条件が異なる複数の提案が提示され、公知となった場合には、株主の利益に配慮しているか(価格等の取引条件について最善の選択をしているか)という問題が特に顕在化しやすく、市場における説明責任を果たす必要が高まると考えられる」と指摘している(行動指針3.2.1)
 さらに、行動指針は、取締役会は、「企業価値の向上に加えて株主利益の確保を実現するための合理的な努力を貫徹すべきである」ところ、『このような努力を貫徹してもなお、企業価値向上には資すると判断されるが「価格が十分とは言いがたい提案」に取締役会が賛同する例外的な判断をするのであれば、その判断の合理性については、十分な説明責任を果たすべきである』としている(行動指針3.2.3)。
 但し、行動指針の上記指摘は、あくまで取締役会に合理的な努力の貫徹と説明責任の履行を要請するものであり、常に最高価格の買収提案を選択する義務(以下、このような判断基準を「買収価格基準」という。)を課すものではない。我が国において、現時点では取締役がいわゆるレブロン義務(株主の利益のために合理的に入手可能な最善の価格を確保する義務)を負うことを明示的に認めた裁判規範は存在せず、行動指針も同様の理解に立っており、レブロン義務の履行を求めるものではない。
 (3) 小括
 以上の考え方を踏まえると、KKR提案とBain追加提案が併存する現状において、当社の取締役会には以下の行動規範に基づく対応が求められている。当社取締役会は、①各提案の買収の望ましさについて、可能な限り定量的な観点から企業価値基準に基づき判断する。買収価格基準に基づく判断は行わない。
 但し、②株主が享受すべき利益の確保の観点から、株主利益の確保を実現するための合理的な努力を貫徹し、各提案価格が「価格が十分とは言いがたい提案」に該当するか否かを評価する。そして、かかる合理的な努力にもかかわらず、企業価値向上には資すると判断されるが「価格が十分とは言いがたい提案」に取締役会が賛同する例外的な判断をするのであれば、その判断の合理性について、十分な説明責任を果たす必要がある。
7頁
「2.1 3つの原則」
8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
18頁
「3.2.1 想定される場面」
15~17頁
 「3.1.2 取締役会における検討」
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
同20頁 ④ 当社経営陣に保身を図る目的がないこと
 行動指針は、企業価値は定量的な観点から比較することが望ましいとし、「測定が困難である定性的な価値を強調することで、企業価値の概念を不明確にしたり、経営陣が保身を図る(経営陣が従業員の雇用維持等を口実として保身を図ることを含む。)ための道具とすべきではない」と述べている(行動指針2.2.2)。
 この点、KKR提案とBain追加提案のうち一方の提案が他方の提案と比較して、当委員会の委員を含む当社経営陣の保身を強く誘引する内容とはなっておらず、当社経営陣が自己の保身を図る目的で一方の提案を採用する際に定性的な企業価値を強調する動機を欠く。また実際の議論においても、当社経営陣に自己の保身を図る目的はないものと認識している。
8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
同20~21頁 (2) 株主が享受すべき利益は確保されているか
① 各提案価格が提示された経緯等
 8月7日付答申書に記載したとおり、当社は、「積極的なマーケット・チェック」に準ずる競争環境の下で、KKRから公開買付価格を1株当たり8,800円とする提案を受領した。当該価格に条件の妥当性が認められることは、8月7日付答申書で指摘した事実及び検討結果(公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程、フェアネス・オピニオンの取得、株式価値算定書の算定結果との関係、同種の案件において一般に付与されるプレミアム水準との関係など)に記載のとおりである。
 本件においては、当初より3DIP及びFarallonが保有株式20,667,670株(約33%)をKKRに売却することが確定しており、その後にKKR第1回公開買付けにストラクチャーが変更され、かつ、KKR第1回公開買付けが成立したことにより、KKR第2回公開買付けは、支配株主による買収に準じた構造に変化した。このような買収者が支配株主である場合においてマーケット・チェックが公正性担保措置として機能する場面は限定的であり、実施する意義が乏しいとされている。しかしながら当委員会は、2024年8月7日以降においても、以下のような手当を追加的に講じることにより、マーケット・チェックが機能するよう最大限配慮した。
 ・ Bainからの要請を受け、デューデリジェンスを受け入れた。
 ・ KKRに対してKKR第1回公開買付けの公開買付期間を30営業日とするよう要請した。
 ・ Bainに対し、2024年8月23日以降のDD受入時に送付した同日付「法的拘束力を有する提案書ご提示に向けたDD実施のご案内」において、最高価格を明示した法的拘束力のある提案を提示するよう要請した。
 ・ Bainから、公開買付価格を1株当たり9,450円とする法的拘束力のある提案を受領した。
 ・ KKRに対し、KKR第2回公開買付けの価格引き上げに関する意向確認を行った。
 ・ KKRから、KKR第2回公開買付け価格を1株当たり9,451円まで引き上げる提案を受領した。
② 各提案価格の評価
 以上のとおり、いわば本件では2回に渡って入札に類似する手続が実施されており、(i)公開買付価格を1株当たり9,450円とするBain提案の提出と(ii)公開買付価格を1株当たり9,451円とするKKR提案価格の提出をもって十分な競争手続がクローズしており、KKR提案価格は斯様な公正なプロセスを経た上での最高価格である。また、Bain追加提案価格(9,600円)とKKR提案価格(9,451円)の間には149円(比率にして約1.58%)の価格差がある一方で、KKR提案価格はBain追加提案価格よりも約3ヶ月早期に現金化が可能になるという意味において時間的価値に勝る。
 また、Bain追加提案は「KKR第2回公開買付けが撤回され又は不成立となっていること」をBain公開買付け開始の前提条件としているため、Bain公開買付けがKKR第2回公開買付けに先だって完了する可能性はない。このため時間的価値について、Bain追加提案は常にKKR提案に劣後する構造となっている。
③ 小括
 以上からすれば、少なくとも、行動指針が要請する株主利益の確保を実現するための合理的な努力が貫徹されたことは明らかである。
 また、KKR提案価格(9,451円)には価格としての十分性が認められ、「価格が十分とは言いがたい提案」ではないと評価できる。このためKKR提案に賛同する当社の取締役会の判断は、そもそも、行動指針が指摘する『「価格が十分とは言いがたい提案」に取締役会が賛同する例外的な判断』に該当しないとの評価も可能である。
 仮にKKR提案に賛同する当社の取締役会の判断が『「価格が十分とは言いがたい提案」に取締役会が賛同する例外的な判断』に当たるとしても、本追加意見書で述べるところにより、当社は当該判断の合理性について、十分な説明責任を果たしていると考える。
18頁
「3.2.1 想定される場面」
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」

 

(3) 牧野フライスの事案

  開示資料 買収行動指針への言及箇所(主なもの) 買収行動指針
関連箇所
ニデック「株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(2024年12月27日)1頁  ……公開買付者は、本意向表明書の提出及び本プレスリリースの公表に先立ち、対象者との間で本取引に関する協議の申入れ等は行っておりません。これは、経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「企業買収行動指針」といいます。)において、上場会社の経営支配権を取得する買収一般に「株主意思の原則」や「透明性の原則」が求められていることを踏まえ、本取引の提案段階から、透明性あるプロセスを通じて、対象者の株主の皆様に一切の状況をお伝えすることで、株主の判断のために有益な情報が、公開買付者と対象者から適切かつ積極的に提供されることを促し、もって対象者の株主の皆様が本取引の是非や取引条件に関して正しい選択をすることができる状況を確保することを企図するものです。 23~27頁
「4.1 買収者による情報開示・検討時間の提供」
同3頁  ……(i)対象者を完全子会社化することにより、製品・技術、生産、及び販売網・サービスといった面で両社のシナジーが大きく実現され、両社において企業価値を最大化させる具体的な蓋然性が高いものと確信しております。また、(ii)本公開買付価格(11,000円)は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2024年12月26日(基準日)の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値(7,750円)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値(7,112円)、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値(6,552円)、及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値(6,313円)に対してそれぞれ41.94%、54.67%、67.89%、及び74.24%のプレミアムを加えた価格であり、……本公開買付価格の基準日までの直近1ヶ月間、3ヶ月間、及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムは、2020年1月1日から2024年12月26日までに行われた発行者及びその親会社以外の者による完全子会社化を前提とした国内上場会社(Tokyo PRO Marketを除きます。)を対象とする公開買付けの事例であって、公開買付けの開始前に、公開買付者(その特別関係者を含みます。)による買収対象会社に対する議決権所有割合が33.34%未満である事例105件(なお、REITを対象とする案件、不成立に終わった案件、二段階公開買付けやいわゆるディスカウント公開買付け案件、及び公開買付けの開始前に対抗公開買付け等による株価の変動が生じていた案件は、上記分析から除外しています。)(以下「同種事案」といいます。)において付与されたプレミアムの中央値(公表日の前営業日までの直近1ヶ月間、3ヶ月間、及び6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ、43.05%、44.81%、及び47.98%)をそれぞれ、11.62ポイント、23.08ポイント、及び26.26ポイント上回るものであること、並びに(iii)2024年12月26日時点で対象者のPBR(株価純資産倍率)は1倍未満であるところ、本公開買付価格はPBR1.19倍に相当する水準であることからすれば、対象者の株主の皆様に大きなプレミアムをご享受いただける価格であると考えております。以上の事実を踏まえると、本取引は、全体として、企業買収行動指針においてその実施が推奨されている、正に「望ましい買収」であると考えております。 7~8頁
「2.2.1 望ましい買収」
同3頁  ……公開買付者は、対象者の企業価値を向上させ、対象者の株主の皆様に公正な対価を分配する取引の実施は、対象者及びその株主の皆様のみならず我が国経済社会全体にとっても有益であるとの考えのもと、……本取引の全体にわたって、企業買収行動指針において公開買付者として要求されるプロセスを全て遵守していると考えており、対象者においても同指針に沿った対応(注1)がなされることと想定しております。……
 (注1)企業買収行動指針においては、「経営支配権を取得する旨の買収提案を受領した場合には、速やかに取締役会に付議又は報告することが原則となる。」「付議された取締役会では、『真摯な買収提案』に対しては『真摯な検討』をすることが基本となる。」「『真摯な買収提案』であるとして、取締役会が『真摯な検討』を進める際には、買収提案についての追加的な情報を買収者から得つつ、……企業価値の向上に資するかどうかの観点から買収の是非を検討することとなる。……この際、……過去の株価水準よりも相応に高い買収価格が示されていることから、合理的に考えれば企業価値を高めることが期待し得る提案であれば、取締役・取締役会としてはこれを十分に検討する必要がある。また、取締役会は、買収者が提示する買収価格や企業価値向上策と現経営陣が経営する場合の企業価値向上策を、定量的な観点から十分に比較検討することが望ましい。」旨が定められております。
14~17頁
「3.1 買収提案を受領した場合」
同5頁  本公開買付価格(11,000円)は、①本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2024年12月26日(基準日)の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値(7,750円)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値(7,112円)、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値(6,552円)、及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値(6,313円)に対してそれぞれ41.94%、54.67%、67.89%、及び74.24%のプレミアムを加えた価格であり、本公開買付価格の基準日までの直近1ヶ月間、3ヶ月間、及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムは、同種事案において付与されたプレミアムの中央値(公表日の前営業日までの直近1ヶ月間、3ヶ月間、及び6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ、43.05%、44.81%、及び47.98%)をそれぞれ、11.62ポイント、23.08ポイント、及び26.26ポイント上回るものであること、②対象者株式の過去最高値は9,600円(1990年6月、調整後終値ベース)であり、上場以来、株価が本公開買付価格を上回ったことがないこと、並びに③2024年12月26日時点で対象者のPBR(株価純資産倍率)は1倍未満であるところ、本公開買付価格はPBR1.19倍に相当する水準であることからすれば、対象者の株主の皆様に大きなプレミアムをご享受いただける価格であると考えております。現時点において、本取引を通じて対象者が企図するシナジー効果を定量化することは困難ですが、公開買付者は、本公開買付けを含む本取引は、対象者の株主の皆様に企業買収行動指針に記載の「株主が享受すべき利益」、すなわち、「買収を行わなくても実現可能な価値」を最低限保障するのみならず、「買収を行われなければ実現できない価値」の公正な分配をも十分保証する合理的な投資回収機会を提供するものであると考えております。 8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
牧野フライス特別委員会「公開買付けの開始予定時期及び買付予定数に係る要望書」(2025年1月15日)1頁  ……本提案は上場会社である当社の経営支配権の取得を目的とする買収提案であることから、当社取締役会は、本提案の是非を判断するにあたり、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「本指針」といいます。)も踏まえ、本提案を検討するために、当社独立社外取締役から成る特別委員会(以下「当委員会」といいます。)を設置する等、企業価値の向上に加えて、株主利益の確保を実現する観点から、本提案及びその条件について真摯に精査を行っております。 21~22頁
「3.3 公正性の担保-特別委員会による機能の補完・留意点」
牧野フライス「ニデック株式会社に対する『質問状』の送付に関するお知らせ」(2025年1月28日)1頁  当社は、本提案について、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「本指針」といいます。)に定められた、上場会社の経営支配権を取得する買収一般において尊重されるべき第1原則:企業価値・株主共同の利益の原則(望ましい買収か否かは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、又は向上させるかを基準に判断されるべきである。本指針7頁)を踏まえ、本提案が当社の企業価値(特に中長期的な企業価値)を向上させるか否かという観点から真摯に精査を行っておりますが、本日、かかる精査に当たって当社が必要と考える事項について確認すべく、特別委員会(独自に選定・起用したアドバイザーの助言も得ております。)の答申も踏まえ、初回の質問として「質問状」(別紙)(以下「本質問状」といいます。)をニデックに対して送付しておりますので、お知らせいたします。 7~12頁
「第2章 原則と基本的視点」  
ニデック「貴社取締役会から受領した要請書につきまして」(2025年2月5日)3頁  また、繰り返しお伝え致しておりますとおり、弊社は、貴社代表取締役を含む経営陣の皆様と直接お会いする機会を早急に設けていただき、弊社の考えを更にご説明させていただくとともに、両社にとっての事業上の戦略についてのディスカッションをさせていただくことを強く希望致しておりますが、いかなる理由にてこれまでご了承頂いていないのでしょうか?その理由についてお聞かせ願えれば幸いです。経済産業省が2023年8月31日に策定した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「本指針」といいます。)16頁では「取締役会が「真摯な検討」を進める際には、買収提案についての追加的な情報を買収者から得つつ……検討すること」が強く推奨されています。また、本指針において、「真摯な検討」を進める際には、「買収者が提示する買収価格や企業価値向上策と現経営陣が経営する場合の企業価値向上策を、定量的な観点から十分に比較検討することが望ましい」とされていますが(本指針17頁)、対象会社がかかる比較検討を行うためには、買収者から追加的な情報を積極的に得ることが不可欠であると考えられ、本指針の「買収提案を巡る検討・対話を進めるために必要な情報を買収者や対象会社が提供する」(本指針17頁)、「買収提案を検討・評価するために必要な情報を買収者が対象会社に提供する」(本指針37頁)といった記載も、対象会社が「真摯な検討」を進めるためには買収者から追加的な情報を積極的に得る必要があることを前提としたものであると理解しております。貴社取締役会におかれましては、本指針を踏まえ、本提案が貴社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるかという点について真摯に検討を進めていただくために、上記機会を早急に、また頻度を高く設けていただくことにつき、是非とも、前向きにご検討いただきますよう、改めまして、ここに強くお願い申し上げます。 15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
37頁
「1. 秘密保持契約」
牧野フライス「ニデック株式会社と当社経営陣との面談予定についてのお知らせ」(2025年2月21日)2頁  当社は、経済産業省の「企業買収における行動指針」に則り、企業価値の向上および株主共同の利益の確保の観点から、本提案及びその他の代替策等、あらゆる戦略的オプションについても引き続き検討を尽くして参ります。 8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
牧野フライス「第三者からの当社の完全子会社化を目的とした初期的意向表明書の受領及びニデック株式会社からの買収提案に対する再要請書の送付について」(2025年3月10日)1頁  経済産業省の「企業買収における行動指針」では、「取締役・取締役会として、買収者との間で企業価値に見合った買収価格に引き上げるための交渉を尽くす、競合提案があることを利用して競合提案に匹敵する程度に価格引き上げを求める・・・など、企業価値の向上に加えて株主利益の確保を実現するための合理的な努力を貫徹すべき」(同指針19~20頁)とされており、当社取締役会としては、今後も、同指針に則り、特別委員会の助言・答申を最大限尊重しつつ、本提案が当社の企業価値及び株主共同の利益の向上に繋がるかの精査を進めると共に、並行して、第三者提案についても同様の精査を進め、提案者らから法的拘束力のある最終的な意向表明書を受領した上で、最終的に、当社の株主の皆様にとって最良の選択肢及び結果をご提示できるよう、最大限の努力を尽くして参ります。 19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
牧野フライス「ニデック株式会社による当社株式に係る公開買付け(予告)につき、第三者提案の具体化・検討のために必要な時間を確保することのみを目的とする、 当社の会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為等への対応方針(買収への対応方針)の導入に関するお知らせ」(2025年3月19日)5~7頁 (1) 本意向表明書の受領日から本公開買付けの開始予定日(4月4日)までの間に第三者提案の具体化や十分な検討等のための時間が確保されていないこと
 経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「本指針」といいます。)では、その「2.2.3株主意思の尊重と透明性の確保」において、「買収の是非や取引条件に関する正しい選択を株主が行うためには、十分な情報が株主に提供される必要がある。このように、第2原則及び第3原則は、第1原則を実現する前提として求められるものである。・・・基本的には、・・・透明性を高め、株主に十分な情報や時間を提供することで、株主の適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)が行われることが期待される。その際、買収者は、買収の公表に至るまでは対象会社に対して説明を行うと共に、公表後は公開買付届出書などへの適切な記載を通じて株主を含めた市場に対する説明責任を果たす必要がある」〔下線・強調は当社〕と明記されています。また、本指針の「4.1.2買収に関する検討時間の提供」では、「株主によるインフォームド・ジャッジメントの機会を確保するためには、情報のみならず、対象会社の株主や取締役会に対して十分な時間が提供されることも重要である。対象会社との交渉を経ずに公開買付けが開始される場合、対象会社の株主や取締役会にとって、買収に関する検討や準備の時間が不足することも考えられる。公開買付制度においては、対象会社は公開買付期間を30営業日まで延長させることができるものの、この日数では不足すると客観的に考えられる場合には、買収者は、当初より公開買付期間を長く設定する、もしくは、対象会社やその株主のニーズも踏まえ合理的な範囲で期間を延長することが望ましい」〔下線・強調は当社〕とも明記されているところです。
 本件では、当社が本意向表明書を受領したのは、当社及び多くの日本の事業会社にとっての2024年の年内最終営業日である2024年12月27日(金)であって、しかも、ニデックも自認しているとおり、本意向表明書を受領するまで、ニデックからは、本提案に関して、事前の協議はおろか、事前の打診すら一切ございませんでした。そのため、検討期間の始期が実質的に2025年の最初の営業開始日である1月6日(月)となり、本公開買付けの開始日として予告されている本年4月4日まで、約3か月弱の検討期間しか確保されていません。
 ……当社は、本提案の是非に関する検討の一環として第三者提案の可能性を検討する必要もあるところ、ニデックが「2024年8月頃より本取引に係る検討を開始」し、同年12月27日に本提案をするまで約5か月間に亘って本提案について検討した旨を同日付けの「株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「本公開買付け予告プレス」といいます。)に記載していることからも明白なとおり、買収提案の検討及び公表には相当程度の時間を要し、約3か月弱という期間は、本提案について事前に全く打診を受けていない当社が第三者提案を模索し公表するまでの時間として不十分であることは明らかです。
 さらに、本年4月4日は、当社の2025年3月期末を跨ぎ、一年でも最も忙しい時期であって、当社としても本提案の分析・検討のためのリソースを十分確保することは困難です。
 したがって、当社の株主の皆様及び当社が第三者提案その他の代替案と比較検討した上で本提案の是非を熟慮するために必要な時間を確保するために、本公開買付けの開始は、合理的な期間、延期される必要があるところ、本特別委員会及び当社取締役会がニデック及びその取締役会に対し、本公開買付けの開始の延期を再三要望したものの、ニデックがこれを峻拒したことは上記1のとおりです。
11~12頁
「2.2.3 株主意思の尊重と透明性の確保」
27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」
30~35頁
「第5章 買収への対応方針・対抗措置」
ニデック「株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2025年4月3日)14頁(2025年4月7日付け訂正後) (4)企業買収行動指針を踏まえた本取引における手続の公正性について
 公開買付者は、本取引が、公開買付者グループとのシナジー実現等により対象者の中長期的な企業価値を向上させ、同時に対象者の株主の皆様に対して市場株価に大幅なプレミアムを付した公正な対価の分配を可能ならしめる点で、企業買収行動指針における「望ましい買収」に該当すると考えており、その実施に際して対象者の株主の皆様のご判断に有益な情報を適切かつ積極的に開示し(透明性の原則)、対象者の株主の皆様の合理的な意思決定の機会を確保した上で、株主の皆様のご判断に最終的に依拠することとする(株主意思の原則)等、手続の公正性に最大限配慮する所存です。具体的には、以下のとおり、企業買収行動指針を遵守する方法による本取引の実施をご提案いたします。
7~12頁
「第2章 原則と基本的視点」
同14~15頁 ① インフォームド・ジャッジメントの機会の確保
 公開買付者としては、本意向表明書及び2024年12月27日付プレスリリースを通じて、対象者やその株主の皆様に対して、本公開買付けの概要、本取引の実施により実現されるシナジー、本公開買付け後の経営方針等、本取引に係る取引条件の妥当性等についての判断のために必要かつ十分な情報を提供しているものと考えております。また、公開買付者は、本意向表明書及び2024年12月27日付プレスリリースの中で、本公開買付けの開始までに、対象者及び本特別委員会に対して、本公開買付けにご賛同いただけるよう誠実に説明したい旨を申し出たところ、2025年1月10日、本特別委員会より、公開買付者から説明を受けたい旨の要望を受けたため、2025年1月17日午前10時から1時間15分、本特別委員会と面談を行い、本特別委員会に対し、本取引の内容及び本取引実施によるシナジーについて説明しました。そして、公開買付者は、2025年1月28日、対象者から「質問状」の交付を受け、2025年1月31日、対象者に対し、当該「質問状」に対して「対象者から受領した質問状につきまして」と題する回答書を提出しました。その後、公開買付者は、2025年2月7日、対象者から「質問状(2)」の交付を受け、2025年2月14日、対象者に対し、当該「質問状(2)」に対する回答として「対象者から受領した質問状(2)につきまして」と題する回答書を提出しました。さらに、公開買付者は、2025年3月11日、対象者から「質問状(3)」の交付を受け、2025年3月17日、対象者に対し、当該「質問状(3)」に対して「貴社から受領した質問状(3)につきまして」と題する回答書を提出いたしました。
 また、公開買付者は、各回答書等を通して、公開買付者と対象者経営陣の面談の機会が提供されることを依頼していたところ、2025年2月21日、対象者より、公開買付者から説明を受けたい旨の要望を受けたため、公開買付者は指定された2025年3月4日午前8時30分から1時間35分間、対象者経営陣及び本特別委員会と面談を行い、本取引の内容及び本取引実施によるシナジーについて説明し、また対象者経営陣及び本特別委員会からの質問に対して、質疑応答いたしました。このように、公開買付者は、対象者から提供された機会の中で、本取引の内容を最大限ご理解いただけるよう、対象者経営陣及び本特別委員会に対してご説明を差し上げ、さらに、対象者取締役会及び本特別委員会が、本意向表明書に記載の情報に加えて、本公開買付けに対する意見形成のために追加的に必要であると判断された情報の提供依頼に対応してきました。また、公開買付者は、対象者やその株主の皆様の本取引に対するご理解及びご賛同を得るのに十分な検討期間を確保するために、本許認可等手続の完了予定時期の見込みも踏まえ、2025年4月4日に本公開買付けを開始することとしており、更に本公開買付期間を31営業日としていることから、これらをあわせると、本公開買付けは、意向表明書の提出の日から本公開買付期間の末日までの間に、4ヶ月以上の検討期間を設定しており、対象者やその株主の皆様が本取引をご検討するに際して、必要な時間的猶予を十分に提供しているものと考えております。
 したがって、公開買付者は、企業買収行動指針に規定されている「株主意思の原則」や「透明性の原則」を遵守しており、必要な情報を適切に提供し、透明性・公正性が十分に確保された上で、株主が買収者による株式の取得に応じるか否かを判断(インフォームド・ジャッジメント)する機会は、十分に確保されているものと考えております。 公開買付者としては、……本取引が、公開買付者グループと対象者グループとの間のシナジーの創出により、両社の株主、顧客、従業員及びその他ステークホルダーの皆様に大きな利益をもたらすものと考えており、対象者から本取引に賛同いただけない場合でも、本公開買付けは成立し、本公開買付けに応募いただけなかった株主の皆様にも本公開買付けが成立した後の本株式併合の議案には賛同いただけると考えております。なお、本日現在、対象者の株主の中で本公開買付けが成立した場合には本株式併合に係る議案に賛成する見込みである旨を表明する者は確認できておりません。
11~12頁
「2.2.3 株主意思の尊重と透明性の確保」
27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」  
同15頁 ② 強圧性を排除することを意図した条件設定
 (ア) 非公開化を目的とした買付予定数の設定等
 本公開買付けにおいては、公開買付者は、最終的に対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としており、買付予定数の上限を設けておりません。
 また、公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにおいて公開買付者が対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合のうち、本公開買付けの結果、(a)公開買付者が対象者の総株主の議決権の90%以上に相当する対象者株式を所有するに至った場合、(b)公開買付者が対象者の総株主の議決権の3分の2以上90%未満に相当する対象者株式を所有するに至った場合、(c)公開買付者が対象者の総株主の議決権の3分の2以上に相当する対象者株式を所有するに至らなかった場合のいずれの場合であっても、公開買付者は、対象者を完全子会社化する方針を変更せず、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しており、上記(b)及び(c)の場合には対象者に対して、本臨時株主総会の開催を要請するものとします。……公開買付者は、上記(c)の場合でも、本臨時株主総会における本株式併合に係る議案の可決要件を満たす見込みであると考えております。但し、本日現在、対象者の株主の中で本公開買付けが成立した場合には本株式併合に係る議案に賛成する見込みである旨を表明する者は確認できておりません。なお、本臨時株主総会において、本株式併合に係る議案の承認を得られない場合であっても、公開買付者は、対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としているため、本株式併合の承認のために次回に開催を予定する株主総会における議決権の数に3分の2を乗じた議決権の数に相当する株式数に達するまで対象者株式を追加取得して、当該株主総会の開催を要請するものとします。公開買付者は、当該追加取得の方法として、市場内取引、公開買付け、公開買付け以外の市場外買付け(法において認められる場合に限ります。)を予定しており、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案が否決された場合、実務上可能な限り速やかに追加取得を開始いたします。本公開買付けが成立した場合には当該見込み時期にかかわらず、対象者を完全子会社化する方針を変更いたしません。
 なお、上記追加取得において、公開買付者が対象者の株主の皆様に対して支払う対価は、本公開買付価格と比較して、当該追加取得に対応して売却する株主にとって経済的に同等と評価される価格(対象者が株式併合又は株式分割等、支払う対価の調整を要する行為を行わない限り、1株あたり、本公開買付価格と同額)といたします。
 したがって、公開買付者としては、本取引は、実質的に、企業買収行動指針が提示する「オール・オア・ナッシング」のオファーになっていると考えております。
(イ) 株主の皆様に、公開買付けへの応募と取引の是非の両方について判断する機会を提供することを目的とした本公開買付期間の設定
 公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を11,694,400株と設定し、(i)応募株券等の数の合計が11,694,400株に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないものの、(ⅱ)本公開買付期間中に応募株券等の数の合計が11,694,400株に達した場合……には、速やかにその旨を公表した上で、本公開買付期間として当該公表日の翌営業日から起算して10営業日を確保できるよう本公開買付期間を延長する(但し、本公開買付期間の開始日から21営業日以内に応募株券等の数の合計が買付予定数の下限に達した場合には、その旨を公表した日の翌営業日から起算して本公開買付期間の末日まで10営業日を確保できていることから、本公開買付期間の延長を行わない)ことを予定しております。公開買付者は、これにより、本取引の是非に関する意思表示(賛否)と、本公開買付けに応募するか否かの意思表示とを分離することができます。また、公開買付者は、最終的には対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としていることから、仮に本臨時株主総会において本株式併合に係る議案が否決された場合であっても、本株式併合の承認のために次回に開催を予定する株主総会における議決権の数に3分の2を乗じた議決権の数に相当する株式数に達するまで対象者株式を追加取得して、当該株主総会の開催を要請するものとし、本公開買付けが成立した場合には、対象者を完全子会社化する方針を変更いたしません。公開買付者は以上の仕組み及び方針によって強圧性を排除することを意図しており、また、より多くの対象者の株主の皆様に応募いただく機会を提供できると考えております。
41頁
「c) 強圧性の排除の工夫をした公開買付け」
27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」
牧野フライス「ニデック株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2025年4月3日)1~2頁  そこで、当社は、2025年3月19日付け「ニデック株式会社による当社株式に係る公開買付け(予告)につき、第三者提案の具体化・検討のために必要な時間を確保することのみを目的とする、当社の会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為等への対応方針(買収への対応方針)の導入に関するお知らせ」において公表いたしましたとおり、本提案を受け入れるか否かの判断は、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針」に基づき、最終的には株主の皆様の合理的意思によってなされるべきものであるとの考え方の下、当社株式の大規模買付行為等への対応方針(以下「本対応方針」といいます。)を導入いたしました。 32頁
「5.2 株主意思の尊重」
牧野フライス「第三者提案の具体化・検討のために必要な時間を確保すべきことに鑑みたニデック株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明(反対)のお知らせ」添付のニデックに対する質問(2025年4月10日)1~2頁  当社及び当社が2025年1月10日付けで設置した当社独立社外取締役4名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)は、本提案と競合する当社の完全子会社化を目的とした買収提案(以下「第三者提案」といいます。)に係る初期的な意向表明書(以下「第三者初期意向表明書」といいます。)を受領するまでに、公開買付者に対して、合計3回に亘り、公開買付者から本公開買付けに関して提供された情報が当社の株主の皆様によるインフォームド・ジャッジメントの機会を確保する観点から不十分な内容であることから、本公開買付けの開始を同年5月9日とするよう、繰り返し要望して参りました。
 また、当社は、第三者初期意向表明書を受領した後にも、第三者初期意向表明書を受領したこと、第三者提案に係る法的拘束力のある最終的な意向表明書(以下「第三者最終意向表明書」といいます。)を受領するまでに時間を要し、本公開買付けの開始日までにこれを受領して公表することは困難であることを付記して同様の要請を致しました。
 これらの要請は、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「本指針」といいます。)において、株主の皆様が買収の是非や取引条件に関する正しい選択を行うために、対象会社の取締役会や特別委員会が代替案を検討・立案・実行したりするために必要な時間が確保されることや、株主の皆様に代替案に関する情報、さらには、買収提案と代替案を比較検討した結果の情報が提供されることが求められていると考えられることに基づきます。
 公開買付者は、本公開買付届出書5頁で「本取引の全体にわたって、企業買収行動指針において公開買付者として要求されるプロセスを全て遵守していると考えており」と記載されていますが、上記の本指針に基づく当社の延期要請を無視して、本公開買付届出書に本公開買付けの開始日を2025年4月4日としなければならない積極的な理由については全く記載することもなく(特に、中国の競争法上の手続については、公開買付者が2024年12月27日以降一貫して「4月初旬」の完了見込みと繰り返し述べてきたにも拘らず、……当該見込み時期から大幅に遅延する事態になっていますが、遅延の理由等に何ら触れることなく見通しを修正して)、本公開買付けを敢えて2025年4月4日に強行的に開始された理由をご教示ください。
27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」
28~29頁
「4.2 対象会社による情報開示」
ニデック「株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)が『ニデックによる株主の皆様に対する送付物についてのご注意』で公表した独自の見解に関する当社からのご説明」(2025年4月14日)1頁  まず、「買収防衛策」や「対応方針」という用語には、法令上の定義はなく、経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」においても、「買収防衛策(本指針では「買収への対応方針」又は単に「対応方針」と呼称しているため、以下それに倣う。)」と記載されており、「買収防衛策」と「対応方針」が同様の概念であることが前提とされていることを踏まえても、これらは単なる呼称の違いにすぎません。したがって、本対応方針を「買収防衛策」と呼称したとしても、対象者のこれまでの公表内容と何ら反するものではありません。 1頁
「1.1 本指針の策定経緯」

 

(4) 芝浦電子の事案

  開示資料 主な買収行動指針への言及箇所 買収行動指針
主な関連箇所
YAGEO「株式会社芝浦電子(証券コード:6957)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(2025年2月5日)1頁  YAGEOは、……対象者の大手センサメーカーとしての強みを理解し、本取引を通じて共に「世界屈指のセンサメーカー」を目指す関係性が築かれると考え、2024年9月頃から本取引の検討を開始しました。2024年10月11日、YAGEOは、対象者に対して、まず、YAGEOの創業者兼会長と対象者の代表取締役社長との面談を通じて業務提携の可能性を探りたい旨の申し入れを行いました。以降YAGEOは、対象者に対して、複数回面談を依頼したものの、それら全てが対象者より拒否されたことから、経営支配権を取得する旨の買収提案を受領した企業の取締役会は真摯な検討をすることを推奨する経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「企業買収行動指針」といいます。)の趣旨に沿って、本取引について対象者取締役会と友好的に協議することを目的として、2024年12月30日に、対象者の取締役会に対して本取引に関する意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出いたしました。 15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
同4~5頁  ……(i)対象者を完全子会社化することにより、製品・技術開発、生産、及び販売網・サービスといった面で両社のシナジーが大きく実現され、両社において企業価値を最大化させる具体的な蓋然性が高いものと確信しております。また、(ii)本公開買付価格(4,300円)は、①本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2025年2月4日(基準日)の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値(3,140円)、同日までの直近1週間の終値単純平均値(3,169円)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値(3,213円)、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値(3,252円)、及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値(3,274円)に対してそれぞれ36.94%、35.69%、33.83%、32.23%、及び31.34%のプレミアムを加えた価格であり、……2024年1月から12月までに公表された案件公表前のPBRが1倍以上であった上場会社の非公開化を目的とした事例37件(但し、自己株式の公開買付け及び本日時点で成立していない公開買付けを除きます。)におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間、及び公表日の前営業日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ、42.41%、41.69%、42.27%、及び42.14%)に照らしても遜色がないこと、②東京証券取引所が公表している統計資料によれば、対象者が属するスタンダード市場に上場している電気機器を業種とする企業の2025年1月時点における平均PBR(株価純資産倍率)が0.8倍であるところ、本公開買付け価格はPBR1.9倍に相当する水準であることからすれば、対象者の株主の皆様に大きなプレミアムをご享受いただける価格であると考えております。加えて、(iii)本公開買付けの買付代金は65,559,059,900円(買付予定数(15,246,293株)に本公開買付価格(1株あたり4,300円)を乗じた金額を記載しております。本日以降の株式数の変動等により、本公開買付けにおける実際の買付予定数の数値が異なった場合には変動する可能性があります。)であるところ、本公開買付けに係る決済は、YAGEOからの出資金(公開買付者は、YAGEOから、本公開買付けが成立した場合に、本公開買付けの決済の開始日(以下「本決済開始日」といいます。)の前営業日までに、本公開買付けの買付代金及びその他買付手数料等の資金の出資又は融資を受ける予定です。)を用いる予定であり、YAGEOの2024年9月30日現在の預金額は425,982.88百万円(94,244百万台湾ドルを、1台湾ドル/4.52円(同日付)で換算した金額)であるため、決済資金の準備も完了しております。さらに、(iv)YAGEOは、本日現在、本公開買付前提条件の充足の重大な支障となる事実を認識しておりません。
 以上の事実を踏まえると、本取引は、全体として、企業買収行動指針においてその実施が推奨されている、「望ましい買収」であるものと確信しております。
7頁
「2.1 3つの原則」
同5頁  また、YAGEOは、対象者の企業価値を向上させ、対象者の株主の皆様に公正な対価を分配する本取引の実施は、対象者及びその株主の皆様のみならず、様々なステークホルダーにとっても有益であるとの考えのもと、……本取引の全体にわたって、企業買収行動指針において公開買付者として要求されるプロセスを遵守していると考えており、対象者においても同指針に沿った対応(注1)がなされることと想定しております。……
 (注1)企業買収行動指針においては、「経営支配権を取得する旨の買収提案を受領した場合には、速やかに取締役会に付議又は報告することが原則となる。」「付議された取締役会では、『真摯な買収提案』に対しては『真摯な検討』をすることが基本となる。」「『真摯な買収提案』であるとして、取締役会が『真摯な検討』を進める際には、買収提案についての追加的な情報を買収者から得つつ、……企業価値の向上に資するかどうかの観点から買収の是非を検討することとなる。……この際、……過去の株価水準よりも相応に高い買収価格が示されていることから、合理的に考えれば企業価値を高めることが期待し得る提案であれば、取締役・取締役会としてはこれを十分に検討する必要がある。また、取締役会は、買収者が提示する買収価格や企業価値向上策と現経営陣が経営する場合の企業価値向上策を、定量的な観点から十分に比較検討することが望ましい。」旨が定められております。
14~17頁
「3.1 買収提案を受領した場合」
同6~7頁  ……本公開買付価格(4,300円)は、①本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2025年2月4日(基準日)の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値(3,140円)、同日までの直近1週間の終値単純平均値(3,169円)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値(3,213円)、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値(3,252円)、及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値(3,274円)に対してそれぞれ36.94%、35.69%、33.83%、32.23%、及び31.34%のプレミアムを加えた価格であり、2024年1月から12月までに公表された案件公表前のPBRが1倍以上であった上場会社の非公開化を目的とした事例37件(但し、自己株式の公開買付け及び本日時点で成立していない公開買付けを除きます。)におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間、及び公表日の前営業日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ、42.41%、41.69%、42.27%、及び42.14%)に照らしても遜色がないこと、②東京証券取引所が公表している統計資料によれば、対象者が属するスタンダード市場に上場している電気機器を業種とする企業の2025年1月時点における平均PBR(株価純資産倍率)が0.8倍であるところ、本公開買付け価格はPBR1.9倍に相当する水準であることからすれば、現時点において、本取引を通じて対象者が企図するシナジー効果を定量化することは困難ですが、YAGEOは、本公開買付けを含む本取引は、対象者の株主の皆様に企業買収行動指針に記載の「株主が享受すべき利益」、すなわち、「買収を行わなくても実現可能な価値」を最低限保障するのみならず、「買収を行われなければ実現できない価値」の公正な分配をも十分保証する合理的な投資回収機会を提供するものであると考えております。 8~11頁
「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」
芝浦電子「YAGEO Corporation に対する『質問状』の送付に関するお知らせ」(2025年2月26日)10~11頁  貴社は、多くの日本企業にとって年内最終営業日である2024年12月30日に本意向表明書を当社宛に送付し、その後当社に対して十分な検討の時間を与えることなく、短期間かつ一方的な面談設定の依頼をするとともに、貴社の独断により理由を知らせることもなく、両者で独占的に協議をした上で2025年2月5日に友好的な公開買付けを公表することを希望されておりました。当社は、貴社から受領した本意向表明書を踏まえた機密の議論を行う前提として、NDAの差入れを求めており、NDAの内容も貴社と機密の議論を行う上で合理的な内容の片務型のNDAでありました。M&A取引に際し、売手が買手に片務型のNDAの差入れを依頼するのは、M&Aのプラクティスに照らしても、極めて一般的な手続きであると理解しており、2023年8月31日付で経済産業省が公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」においても、相互の信頼関係の醸成のために、買収者との秘密保持契約において一定の合理的な期間を定めて会社との合意なく買収提案を公開しないこと、公開買付けを開始しないこと、株式の買増しをしないこと(スタンドスティル)等の条項の交渉を通じて、適切な交渉時間・機会を確保することの検討を行うことは合理性があるとされております。貴社が真摯な買収提案者でありかつ友好的な協議を目的としていたにもかかわらず、NDAに対するマークアップの一切の検討もなかったことから、貴社にNDAを締結する意思がなかったものと考えられ、かかる貴社の対応が、貴社が求める「友好的な協議」とは乖離があるものと考えられる点、また「友好的な協議」を求めながらNDAについて一切の検討を行わなかった点について、貴社のお考えをご教示ください。 37頁
「1. 秘密保持契約」
芝浦電子「ミネベアミツミ株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(2025年4月10日)17~18頁  他方で、YAGEO提案の受領以降、当社は、当社の企業価値の向上及び株主共同の利益の観点から最善の選択肢を模索するため、企業買収行動指針を踏まえ、マーケット・チェックに関する検討を開始し、2025年1月中旬以降、複数の潜在的な候補者として、事業会社9社に対して、YAGEO提案に対する対抗提案として当社の完全子会社化に関する打診を行いました。その後、2025年2月17日に、ミネベアミツミからYAGEO提案に対する対抗提案としての法的拘束力を有しないミネベアミツミ意向表明書①を受領しました。当社は、ミネベアミツミ意向表明書①が、具体性・目的の正当性・実現可能性の認められる「真摯な買収提案」であると判断し、ミネベアミツミからのデュー・ディリジェンスの実施の依頼に基づき、一定の資料の提供や質問への回答の対応をいたしました。 19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
芝浦電子「YAGEO Corporation による公開書簡に対する当社の見解について」(2025年4月23日)2頁  当社は、企業買収行動指針を踏まえ、積極的なマーケット・チェックとして、2025年1月中旬以降、潜在的な候補者である事業会社9社に対して当社の完全子会社化に関する打診を行っており、適切なマーケット・チェックを実施した上で、ミネベアミツミとの間で協議を進めて参りました。具体的には、当社は、ミネベアミツミに対し、当社をミネベアミツミの完全子会社とすることを目的とする一連の取引(以下「ミネベアミツミ取引」といいます。)の検討の初期段階から守秘義務契約の締結を要請し、マークアップ協議を経た上で、最終的に(YAGEOが拒絶した)スタンドスティル条項付きの守秘義務契約を締結し、当社としても、情報管理上の懸念がない状況を確保することができたため、デュー・ディリジェンス等の実施を受け入れ、ミネベアミツミとの間で協議を重ねて参りました。
 このようにYAGEOとミネベアミツミは、当社からの守秘義務契約の締結要請に対する対応を含め、公開買付けの開始予定の公表に至るプロセスが異なった結果として、当社とのエンゲージメントの度合いも自然と異なったものとなっておりますが、当社としては、特別委員会からの意見も踏まえ、YAGEO及びミネベアミツミからの提案をいずれも真摯かつ公平に検討して参りました。
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
37~39頁
「別紙1:取締役・取締役会の具体的な行動の在り方」
YAGEO「株式会社芝浦電子(証券コード:6957)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2025年5月8日)5頁  また、公開買付者は、以下の理由……により、本取引は経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「企業買収行動指針」といいます。)における「望ましい買収」に該当すると考えております。企業買収行動指針では、望ましい買収か否かは、(i)企業価値ひいては(ii)株主共同の利益を確保し、又は向上させるかを基準に判断されるべきとされております。
 まず、公開買付者は、本取引を通じてYAGEOが対象者を完全子会社化することにより、……製品・技術開発、生産、及び販売網・サービスといった面でシナジーの発現が想定され、両社の企業価値が最大化される具体的な蓋然性が高いものと確信しており、本取引は対象者の企業価値の向上に資するものと考えております(上記(i))。
 また、本公開買付価格(6,200円)は、①本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2025年2月4日(基準日)の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値(3,140円)、同日までの直近1週間の終値単純平均値(3,169円)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値(3,213円)、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値(3,252円)、及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値(3,274円)に対してそれぞれ97.45%、95.65%、92.97%、90.65%、及び89.37%のプレミアムを加えた価格であり、……2024年1月から12月までに公表された案件公表前のPBRが1倍以上であった上場会社の非公開化を目的とした事例37件(但し、自己株式の公開買付け及び本日時点で成立していない公開買付けを除きます。)におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間、及び公表日の前営業日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ、42.41%、41.69%、42.27%、及び42.14%)を上回っていること、また②東京証券取引所が公表している統計資料によれば、対象者が属するスタンダード市場に上場している電気機器を業種とする企業の2025年1月時点における平均PBR(株価純資産倍率)が0.8倍であるところ、本公開買付価格はPBR2.6倍に相当する水準であることからすれば、対象者の株主の皆様に大きなプレミアムをご享受いただける価格であると考えており、本取引は、株主共同の利益の向上に資するものと考えております(上記(ii))。
 なお、本公開買付けの買付代金は94,517,344,600円(買付予定数(15,244,733株)に本公開買付価格(1株あたり6,200円)を乗じた金額を記載しております。)であるところ、本公開買付けに係る決済は、YAGEOからの出資金(公開買付者は、YAGEOから、本公開買付けが成立した場合に、本公開買付けの決済の開始日(以下「本決済開始日」といいます。)の前営業日までに、本公開買付けの買付代金及びその他買付手数料等の資金の出資又は融資を受ける予定です。)を用いる予定であり、YAGEOの2024年12月31日現在の預金額は488,745.60百万円(101,822百万台湾ドルを、1台湾ドル/4.80円(同日付)で換算した金額)であるため、決済資金の準備も完了しており、実現可能性が合理的に疑われる提案ではないと考えております。
7頁
「2.1 3つの原則」
15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」
同21頁 (7)企業買収行動指針を踏まえた本取引における手続の公正性について
 ……公開買付者は、本取引が、YAGEOグループとのシナジー実現等により対象者の中長期的な企業価値を向上させ、同時に対象者の株主の皆様に対して市場株価に大幅なプレミアムを付した公正な対価の分配を可能ならしめる点で、企業買収行動指針における「望ましい買収」に該当すると考えており、その実施に際して対象者の株主の皆様のご判断に有益な情報を適切かつ積極的に開示し(透明性の原則)、対象者の株主の皆様の合理的な意思決定の機会を確保した上で、株主の皆様のご判断に最終的に依拠することとする(株主意思の原則)等、手続の公正性に最大限配慮する所存です。具体的には、以下のとおり、企業買収行動指針を遵守する方法による本取引の実施をご提案いたします。
7~12頁
「第2章 原則と基本的視点」
同21~22頁 ①インフォームド・ジャッジメントの機会の確保
 公開買付者としては、本予告プレスを通じて、対象者やその株主の皆様に対して、必要かつ十分な情報を提供しているものと考えております。公開買付者は、2025年2月26日、対象者から「質問書」の交付を受け、2025年3月6日、対象者に対し、当該「質問書」に対する「回答書」を提出するとともに、同「回答書」を公表いたしました。その後、公開買付者は、2025年3月19日、対象者から「質問書(2回目)」の交付を受け、2025年3月26日、対象者に対し、当該「質問書(2回目)」に対する「回答書(2回目)」を提出するとともに、同「回答書」を公表いたしました。また、2025年4月2日には、2025年3月31日に秘密保持契約を締結し、同日、その旨公表したうえで、公開買付者は対象者取締役会及び本特別委員会と面談を行い、上記回答書及び回答書(2回目)にて、公表を前提とした回答書には馴染むものではないとして回答を一部控えた質問について、重要な補足説明及び追加的な情報提供をすることを目的として、2025年4月2日付で対象者の経営陣及び特別委員会と面談を実施する等、対象者経営陣会及び特別委員会に対して、本取引の内容をご理解いただき、本公開買付けにご賛同いただけるよう適時にご説明を差し上げ、さらに、対象者取締役会が、本意向表明書に記載の情報に加えて、本公開買付けに対する意見形成のために追加的に必要であると判断された情報の提供依頼に対応してきました。なお、公開買付者は、2025年4月3日に、2025年4月2日付で対象者の経営陣及び特別委員会と面談を実施したことについて公表しております。また、その後、公開買付者は、2025年4月15日付で、対象者2025年4月10日付意見表明プレスに対する公開買付者の見解を公表いたしました。
 加えて、公開買付者は、2025年2月5日付で本公開買付けの開始予定に関する公表を行い、当該公表より、本公開買付けの開始までに61営業日が経過していることから、公開買付者以外の者による対象者株式に対する買付け等の機会は確保されているものと考えております。さらに、公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しております。このように、本公開買付けの公表から公開買付期間の終了まで、法が定める公開買付けの最長期間である60営業日を超える91営業日を確保することにより、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会が確保されているものと考えております。したがって、公開買付者は、企業買収行動指針に規定されている「株主意思の原則」や「透明性の原則」を遵守しており、必要な情報を適切に提供し、透明性・公正性が十分に確保された上で、株主が買収者による株式の取得に応じるか否かを判断(インフォームド・ジャッジメント)する機会は、十分に確保されているものと考えております。
11~12頁
「2.2.3 株主意思の尊重と透明性の確保」
27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」  
同22~23頁 ②強圧性を排除することを意図した条件設定
(ⅰ)非公開化を目的とした買付予定数の設定等
 本公開買付けにおいては、公開買付者は、最終的に対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としており、買付予定数の上限を設けておりません。
 また、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにおいて公開買付者が対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合のうち、本公開買付けの結果、(i)公開買付者が対象者の総株主の議決権の90%以上に相当する対象者株式を所有するに至った場合、(ii)公開買付者が対象者の総株主の議決権の3分の2以上90%未満に相当する対象者株式を所有するに至った場合、(iii)公開買付者が対象者の総株主の議決権の3分の2以上に相当する対象者株式を所有するに至らなかった場合のいずれの場合であっても、公開買付者は対象者を完全子会社化する方針を変更せず、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しており、上記(ii)及び(iii)の場合には、対象者に対して、本臨時株主総会の開催を要請する予定です。……公開買付者は、上記(iii)の場合でも、本臨時株主総会における本株式併合に係る議案の可決要件を満たす見込みであると考えております。
 なお、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案の承認を得られない場合であっても、公開買付者は、最終的には対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としていることから、本株式併合の承認のために次回に開催を予定する株主総会における議決権の数に3分の2を乗じた議決権の数に相当する株式数に達するまで対象者株式を追加取得して、当該株主総会の開催を要請いたします。公開買付者は、当該追加取得の方法として、市場内取引、公開買付け、公開買付け以外の市場外買付け(法において認められる場合に限ります。)を予定しております。本公開買付けが成立した場合には当該見込み時期にかかわらず、対象者を完全子会社化する方針を変更いたしません。
 また、上記追加取得において、公開買付者が対象者の株主の皆様に対して支払う対価は、本公開買付価格と比較して、当該追加取得に対応して売却する株主にとって経済的に同等と評価される価格(対象者が株式併合又は株式分割等、支払う対価の調整を要する行為を行わない限り、1株あたり、本公開買付価格と同額)といたします。
 したがって、本取引は、本公開買付けと同一の価格での本スクイーズアウト手続を実施することを予めコミットしたものであり、対象者の株主の皆様への強圧性を低減した条件になっているものと考えております。
(ⅱ)株主の皆様に、公開買付けへの応募と取引の是非の両方について判断する機会を提供することを目的とした公開買付期間の設定
 公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を7,623,200株と設定し、(i)応募株式の数の合計が7,623,200株に満たない場合には、応募株式の全部の買付け等を行わないものの、(ii)公開買付期間中に応募株式の数の合計が7,623,200株に達した場合には、速やかにその旨を公表した上で、公開買付期間として当該公表日の翌営業日から起算して10営業日を確保できるよう公開買付期間を延長する(但し、公開買付期間の開始日から20営業日以内に応募株式の数の合計が買付予定数の下限に達した場合には、その旨を公表した日の翌営業日から起算して公開買付期間の末日まで10営業日を確保できていることから、公開買付期間の延長を行いません。)ことを予定しております。公開買付者は、これにより、本取引の是非に関する意思表示(賛否)と、本公開買付けに応募するか否かの意思表示とを分離することができ、これをもって強圧性を排除することを意図しており、また、より多くの対象者の株主の皆様に応募いただく機会を提供できると考えております。
41頁
「c) 強圧性の排除の工夫をした公開買付け」
27頁
「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」
芝浦電子「ミネベアミツミ株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見の変更(賛同・応募中立)についてのお知らせ」(2025年5月21日)1~2頁  当社は、経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(以下「企業買収行動指針」といいます。)を踏まえ、「株主の利益にとって適正な範囲を超えて不当な取引条件」であると評価される場合でない限り、公開買付けに対して賛同するか否かについては当該公開買付けが企業価値の向上に資するか否かで判断するべきと考えているところ、ミネベアミツミ公開買付けは不当な取引条件ではなく、また、当社の株主をミネベアミツミ及び株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下「AP」といいます。)又はAPが指定するAPのグループ会社のみとするための取引が、YAGEO取引に比べて当社の中長期的な更なる成長と企業価値向上に資するとの考えに変更はありません。以上の事情を踏まえると、当社としては、現時点においてもミネベアミツミ公開買付けに賛同する旨の意見を維持することが相当であると考えております。一方で、ミネベアミツミ公開買付けにおける公開買付価格(以下「ミネベアミツミ公開買付価格」といいます。)5,500円が、YAGEO公開買付価格6,200円を下回っていることから、当社及び当社の特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)は、ミネベアミツミに対して、2025年5月12日にミネベアミツミ公開買付価格を変更する意向があるか示すよう要請したところ、2025年5月16日に、ミネベアミツミから、YAGEO公開買付けには我が国の国家安全保障上重大な懸念のある取引であり、外国為替及び 外国貿易法(昭和24年法律第228号。その後の改正を含みます。以下「外為法」といいます。)等の承認可能性に相応の疑義が生じており、また、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)の事前届出の必要性について疑義があると考えていること、仮に今後YAGEOにおいて、YAGEO公開買付けの公開買付期間中に、当社株式取得に係る外為法上の承認を取得できた、若しくは取得できる合理的な見通しが立った場合、かつ、独占禁止法上の事前届出が不要であることが判明した場合には、ミネベアミツミとして対応策を積極的に検討していく旨の回答がありました。
 この点については、当社としても、YAGEOが公表した2025年2月5日付「株式会社芝浦電子(証券コード:6957)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「YAGEO予告公表プレスリリース」といいます。)に記載していた外為法及び台湾対外投資規制の申請及び承認スケジュールから遅延が生じており、YAGEO取引の実現可能性に疑義が生じていると考えており、また、YAGEO取引については当社との具体的なシナジーについても依然として不明確であるため、これらの点について更なる確認が必要であると考えております。
 そして、本特別委員会においても、慎重に検討した結果、YAGEO取引に対しては、従前の質問状に対する回答や面談内容、2025年5月9日付でYAGEO Electronics Japanが提出した公開買付届出書(以下「YAGEO公開買付届出書」といいます。)等の内容を踏まえ、当社とYAGEOグループとのシナジーや、外為法等の承認可能性及び独占禁止法上の事前届出の必要性等の取引の実現可能性に係る質問を再度行う必要があると判断したことから、当社及び本特別委員会として、YAGEO取引に対する追加質問を行うこととしました。
 以上の経緯を踏まえ、本特別委員会は、2025年5月21日に、当社の取締役会に対して、現時点においてもミネベアミツミ公開買付けに賛同する旨の意見を維持することが相当であるものの、YAGEO公開買付価格がミネベアミツミ公開買付価格を上回る等の事情から、当社の株主の皆様に対してミネベアミツミ公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を撤回し、当社の株主の皆様がミネベアミツミ公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場をとった上で、株主の皆様のご判断に委ねるのが相当である旨、及び、現時点においてYAGEO公開買付けについては、シナジー及びその実現可能性等について追加確認を行う必要があること等も踏まえ、YAGEO公開買付けに対する意見の表明を留保することは、YAGEO公開買付けへの対応として不合理でない旨を内容とする追加答申書(以下「2025年5月21日付追加答申書」といいます。)を提出いたしました。
 そして、当社は、2025年5月21日付追加答申書の内容等を踏まえ、2025年5月21日開催の取締役会において、取締役全員の一致により、現時点における当社の意見として、ミネベアミツミ公開買付けに賛同する旨の意見は維持するものの、当社の株主の皆様がミネベアミツミ公開買付けに応募するか否かについては、株主の皆様のご判断に委ねる旨、及び現時点においてはYAGEO公開買付けに対する意見の表明を留保する旨を決議いたしました。
19~20頁
「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」
15~17頁
「3.1.2 取締役会における検討」